FC2ブログ

    スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。

    「俺が勝ったぞ!」

     球渓夫妻は世間の人から「ノミの夫婦」と言われたように、球渓は小男だったが結構力は強く、相撲を取らせるとなかなかのものだったようである。晩年は年二回開かれる大相撲のラジオ実況放送を楽しんで聞いていた姿が脳裏に浮かぶ。
     相撲について、私の叔父に当たる球渓の三男信男から以下のような話を聞かされた。――東京音楽学校時代、有閔学舎に起居していたが、ある日そこに泥棒が侵入したことがあった。その時小男でありながら球渓、果敢にその泥棒に組みつき、組んずほぐれつしていたが、遂に球渓はその泥棒を投げつけた。その時吐いた言葉が振るっている。「おい、竹下! 俺が勝ったぞ!」――取り組んでいるうちにいつのまにか相撲を取っている気分になっていたらしい。泥棒はそそくさと逃げ去ったそうだ。球渓と同室だったその竹下は、のち熊本工業学校の校長をつとめ、そのころ球渓の三男信男は熊本工業学校の寮生だった。卒業する寮生の予餞会の席で「実は、今ここにいる犬童君の父上球渓氏と僕は学生時代同じ部屋で過ごした仲だが、こんなこともあった。」とみんなに話したのだった。
    信男の誕生日は3月20日――父親と同じ月日である。これも珍しいのではないか。

    kyukeiphoto.jpg

    コメント

    非公開コメント

    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。